女子プロレス界で「宇宙一カワイイアイドルレスラー」と呼ばれた中野たむさんが、ついにリングを去りました。数々の名勝負を残し、スターダムの象徴として輝いてきた彼女の引退理由は、単なる勝敗ではありません。
師弟対決となった上谷沙弥さんとの“敗者引退マッチ”には、身体の限界、誹謗中傷との闘い、そして団体への深い愛が絡み合っていました。
ボロボロの身体で最後まで立ち続けた中野たむさんの信念と涙――その裏に隠された真実の物語を、これから紐解いていきます。
中野たむ引退理由は何だったのか?
中野たむさんが引退を決意した理由――それは単なる敗退ではなく、自分を育ててくれた団体「スターダム」への深い愛と信念に基づくものでした。
2025年4月27日、横浜アリーナで行われたワールド・オブ・スターダム選手権試合。 この大舞台で彼女は若きライバルであり元弟子の上谷沙弥さんに敗れ、その場で現役を引退しました。
試合形式は「完全決着敗者引退特別ルール」。
結果がすべてを決める運命の一戦だったのです。 しかし引退の背景には、単純な勝敗だけでは語れない深い想いや葛藤がありました。
彼女は「スターダム以外でプロレスをする気はない。スターダムがすべて」と語り、団体と運命を共にする覚悟でリングに立ったのです。
なぜ上谷沙弥との試合で引退を決めたのか?
中野たむさんが上谷沙弥さんとの対決を最後に選んだのは、二人の特別な関係に理由があります。 上谷沙弥さんはもともと中野たむさんがスカウトし、レスラーとして育て上げた後輩であり、かつては「弟子」と呼ばれる存在でした。
しかし2023年の怪我をきっかけに二人の関係にすれ違いが生じ、絆はやがて激しいライバル関係へと変化。 師弟愛と怨念が交錯する「愛憎の物語」が、引退試合という形で完結しました。
上谷沙弥さんが「私も引退を懸ける」と宣言したことで、試合は両者の命を懸けた戦いに。 中野たむさんは「たとえ全てを失っても、上谷を倒すためなら構わない」と語り、過去の恩や絆すら断ち切る覚悟を固めていました。
結果は26分9秒の激闘の末に敗北。上谷沙弥さんの必殺技「トワイライトドリーム」を浴び、静かにリングを去りました。
身体的な限界と戦い続けた痛みとは?
中野たむさんの引退理由には、度重なる怪我と身体的な限界もありました。 プロレスラーとして9年間走り続けた彼女の身体はボロボロで、腰椎や膝に慢性的なダメージを抱えていたのです。
特に2024年秋には左膝の負傷で長期欠場を余儀なくされており、復帰後もテーピングやサポーターを巻いたまま試合に出場していました。
しかし彼女は弱音を吐かず、常に笑顔を絶やさない存在であり続けました。 「痛いのは生きている証拠。だからこそ今を燃やす」と語り、限界を超えた闘いを続けてきたのです。
周囲の関係者は何度も引退を勧めましたが、中野たむさんは「リングの上で終わりたい」と貫き通しました。 その覚悟が、横浜アリーナでのラストマッチという壮絶な舞台に繋がったのです。
スターダムに懸けた9年間の信念とは?
中野たむさんにとって、スターダムという団体は人生そのものでした。 2017年にスターダムへ入団して以降、彼女は不器用ながらも自己表現と努力で這い上がり、やがて団体のシンボル的存在となりました。
赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム)と白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム)の両方を戴冠した「二冠王」として歴史に名を残しています。 また、2021年には自らのユニット「COSMIC ANGELS」を立ち上げ、「夢を叶える力」を合言葉にリング内外で多くの選手と絆を築きました。
仲間を思いやる優しい一面と、リングでは誰よりも燃える闘志を持つ中野たむさんの姿勢は、多くの後輩に影響を与えています。 「団体がなければ自分も存在しない」という信念が、退団後も他団体に移籍せず引退を選んだ最大の理由でした。
試合当日に何が起こったのか?
2025年4月27日、横浜アリーナで開催されたスターダムの大会「ALL STAR GRAND QUEENDOM 2025」。 中野たむさんと上谷沙弥さんの「敗者引退マッチ」は、女子プロレス界の歴史を変える試合として開催前から注目を集めました。
リング上では、二人がかつて交わした約束と憎しみ、感謝と涙が交錯。序盤から驚異的なスピードと攻防戦が続きました。 試合後、中野たむさんはマイクを手に取り、「私の人生はスターダムと共にあり、後悔はありません」と静かに語り、会場からは万雷の拍手が送られました。
仲間のジュリアさんや岩谷麻優さんがリングに駆け寄り、涙ながらに抱き合う場面は、プロレスファンのみならず多くの人の心を打ちました。 最後は「また宇宙で会おう」の言葉を残してリングを後にした姿が印象的でした。
引退の裏にあった精神的な疲労と誹謗中傷
実は中野たむさんは、SNS上での誹謗中傷にも長年悩まされていました。 特に負傷で欠場中の2024年初頭には、一部のファンから心ないコメントが寄せられ、「もうプロレスをやりたくない」と漏らしたこともあります。
そうした精神的な重圧も、引退を決意する一因でした。 しかし彼女は最後まで戦う姿勢を見せ、「自分の夢を追う人が、傷つけられてほしくない」と言葉を残しました。
引退後には「平和な時間を過ごしたい」「誰かの背中を押せる生き方がしたい」と語っており、今後はプロレスを離れた活動に挑戦するとみられます。
引退後の中野たむさんはどうしているのか?
中野たむさんは現在、地元・愛知県安城市の実家に戻って生活しているとされています。 スターダム退団後はSNSでの発信を一時停止していましたが、ファンに宛てた最後のメッセージは「これからもあなたの人生を信じてください」というものでした。
その言葉からは、リングを離れても人を励ます存在であり続けたいという想いが伝わります。 また、舞台やアパレルブランドのプロデュースなど、表現者としての活動を再開する可能性も報じられています。
まとめ
中野たむさんの引退理由は、スターダムへの深い愛情、身体的な限界、そしてプロレス人生を美しく完結させたいという信念にあります。 敗者引退マッチという運命的なラストバトルは、彼女のキャリアと人格を象徴する壮絶な試合でした。
怪我や誹謗中傷に苦しみながらも、「スターダムが自分のすべて」と言い切ったその覚悟は、プロレス界に永遠に刻まれています。 中野たむさんの9年間の軌跡は、闘いの物語であると同時に、人としての強さと愛の象徴でもありました。
引退は終わりではなく、次の「夢」への第一歩。 彼女の未来は、これからもリングを離れて輝き続けることでしょう。


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