家系ラーメンといえば、今や全国区の人気を誇る一大ジャンルとなっています。その源流となる「家系総本山 吉村家」の創業者である吉村実さんは、家系ラーメンの生みの親として多くのラーメンファンから敬愛されています。
今回は、そんな吉村実さんの年収や収入事情、そして成功の秘訣について迫ります。
吉村実の年収はいくらなのか?
驚くべきことに、吉村実さん自身が公表している情報によれば、現在彼が受け取っている収入は「年金16万円」と「アルバイト代8万円」のみです。
役員報酬は一切受け取っていないとのことで、単純計算すると月収24万円、年収にして約288万円という一般的なサラリーマン並みの収入に見えます。
しかし、これは表面上の数字に過ぎません。吉村実さんは4つの会社を持っており、それらの経費を自由に使うことができる立場にあります。「経費はいくらでも使えるから、『社長、これは使わないともったいないですよ』って税理士に言われる」と語っているように、実質的な生活水準は非常に高いと推測されます。
また、「吉村家」の店舗は1日平均1500杯ものラーメンを提供していると言われています。1杯1000円程度として計算すると、1日の売上は150万円、月に4500万円、年間で5億4000万円にも達する計算になります。
もちろん、ここから仕入れや人件費、家賃などの経費を差し引く必要がありますが、それでも莫大な利益が出ていることは間違いないでしょう。
さらに注目すべきは、吉村実さんが毎年年始に行う驚きの行動です。各材料の仕入れ先の社長さんを全員集め、1年間の仕入れ値を現金で一括前払いするというのです。そのために用意する現金が1億円にも上るとされています。これだけの現金を用意できるということは、吉村実さんの実質的な資産や収入がいかに大きいかを物語っています。
なぜ吉村実は役員報酬を受け取らないのか?
吉村実さんが役員報酬を受け取らない理由は、彼独自の価値観にあります。「そういうしみったれた感覚はないな、俺には」と語るように、お金に対する執着が少ないことがうかがえます。
また、「自分でお金は使わないし税務署にも出さない。みんな寄付しちゃう」と述べているように、収益の多くを寄付や支援活動に充てているようです。「困っている人に支援するのが一番いい」という言葉からは、社会貢献への強い意識が感じられます。
吉村実さんの質素な生活ぶりも注目に値します。高級車ではなく軽自動車を使用し、高級時計やブランド品にも興味を示しません。「高いブランド物買う前に心磨け!」という言葉からは、物質的な豊かさよりも精神的な充足感を重視する姿勢が見て取れます。
このような価値観は、吉村実さんの生い立ちと深く関係しているようです。「家が貧しかったから、金持ちになりたかった」と語るように、幼少期の貧困体験が彼の原動力となっていました。しかし、成功を収めた今では、お金そのものよりも、それを通じて何ができるかを考えるようになったのでしょう。
吉村実はどのようにして成功を収めたのか?
吉村実さんの成功には、いくつかの重要な要素があります。
まず第一に、圧倒的な勤勉さです。「稼ぐための秘訣は寝ないこと、簡単だよ」という言葉に象徴されるように、人が寝ている間も働き続ける姿勢が成功の基盤となっています。現在も72歳という年齢にもかかわらず、毎朝5時から仕込みを行うという徹底ぶりです。
第二に、品質へのこだわりがあります。「缶詰のスープは食べない」と明言するように、手作りの味を守り続ける姿勢が多くのファンの支持を集めています。吉村実さんは「本当に自分のところで作ってたら、いつも一緒の味なんて有り得ねぇ」と語り、味の変化を最小限に抑える技術の重要性を説いています。
第三に、人材育成への情熱です。「家系」という名前には「家族」という意味が込められており、弟子たちにもその技術や精神を惜しみなく伝えています。「金持ちになってほしい」という思いから、必要な技術や知識を教え、多くの弟子が独立して成功を収めています。
第四に、ビジネス感覚の鋭さがあります。「有名になりたかったから」という理由で、家賃が18万円から200万円に跳ね上がる横浜の中心部に店を移したという決断力は、並大抵のものではありません。その結果、現在では2億3千万円の建物を建てるほどの成功を収めています。
吉村実の収入管理はどうなっているのか?
吉村実さんの収入管理は非常にユニークです。お金の管理は奥様に一任しており、自身は年金とアルバイト代だけで生活しています。「何も使うことがない」と語るように、質素な生活を送っているようです。
また、先述したように、収益の多くを寄付や支援活動に充てています。吉村家には多くの感謝状が掲げられており、地域社会への貢献度の高さがうかがえます。
ビジネス面では、仕入れ先との信頼関係構築に力を入れています。年始に1年分の仕入れ代金を現金で一括前払いするという驚きの方法は、単なる資金力の誇示ではなく、取引先との強固な信頼関係を築くための戦略と言えるでしょう。
また、吉村実さんは会社に泊まり込む生活を続けており、自宅へ帰ることすらほとんどありません。「35歳くらいから店でゴザひいて寝てた」と語るように、プライベートと仕事の境界線があいまいな生活スタイルです。このような徹底ぶりが、ビジネスの成功につながっているのかもしれません。
吉村実の生活スタイルはどのようなものか?
吉村実さんの生活スタイルは、一般的な成功者のイメージとは大きく異なります。前述のように、会社に泊まり込む生活を続けており、「土日関係なく仕事して、45年間走ってきちゃった」と語っています。
食生活については、奥様が作る手作りの食事を一食、もう一食はラーメンとライスで済ませるというシンプルなものです。また、72歳という年齢にもかかわらず、「入院したこともないし、風邪もひかない」という驚異的な健康体を維持しています。「気を張っている人は風邪を引かない」という言葉からは、常に緊張感を持って生活している様子がうかがえます。
趣味としては、60歳を過ぎてから始めた「犬ぞり」を20年以上続けています。また、「株取引」も趣味として挙げており、この点では現代的な一面も垣間見えます。一方で、ゴルフや飲み屋通いには全く興味を示さず、「仕事こそが面白い」と語っています。
60歳を過ぎてからは、毎週土曜日に野毛に飲みに行くという習慣も持つようになりました。「ホルモン食べるなら日の出町の『寅次』さん」と具体的な店名を挙げるなど、地元の飲食店を大切にする姿勢も見られます。
また、奥様との関係も興味深いものがあります。「女の人はいらない、僕は家内ひとりで十分」と語り、50年近い結婚生活を送っています。月に1回は旅行に行くことを習慣にしており、「死ぬまでに今まで見たことないことをできたらいいな」という言葉からは、晩年の人生を楽しもうとする姿勢が感じられます。
吉村実の今後の展望はどうなっているのか?
吉村実さんは72歳という年齢もあり、「表に出るのは今年いっぱい」と語っています。「あんまりしゃしゃり出たくねぇんだ、喋ってる暇があるなら寝てた方が楽だしな」という言葉からは、第一線から少し身を引きたいという思いがうかがえます。
しかし、最後に一回、講演会を開催したいという希望も持っています。「売れなくて困っている人がいっぱいいる。だから何かヒントになることを残したい」という言葉からは、後進への思いやりが感じられます。
また、「吉村家」の移転も控えています。現在の店舗は2025年までの契約となっており、移転は契約終了後に予定されているとのことです。移転先の候補としては、桜木町の「ぴおシティ」が挙げられています。
吉村実さんの言葉には、”本物の家系ラーメンの味”を守り続けたいという強い意志が込められています。家系ラーメンの未来は今、分岐点にあるのかもしれません。吉村実さんの想いがラーメンファンや”家系ラーメン”と名のつくラーメン店に届くことが、家系ラーメンの伝統を守る鍵となるでしょう。
まとめ
家系ラーメンの生みの親である吉村実さんの年収と成功哲学について見てきました。表面上は年金16万円とアルバイト代8万円という質素な収入ですが、4つの会社を持ち、1億円の現金を用意できる資産家であることがわかりました。
吉村実さんの成功の秘訣は、圧倒的な勤勉さ、品質へのこだわり、人材育成への情熱、そして鋭いビジネス感覚にあります。「稼ぐための秘訣は寝ないこと」という言葉に象徴されるように、人並外れた努力が彼の成功を支えてきました。
また、お金に対する独自の価値観も注目に値します。役員報酬を受け取らず、収益の多くを寄付や支援活動に充てる姿勢は、物質的な豊かさよりも精神的な充足感を重視する彼の人生哲学を表しています。
吉村実さんの生活スタイルは、会社に泊まり込み、質素な食生活を送るという一般的な成功者のイメージとは大きく異なるものです。しかし、そのような生活の中にも、犬ぞりや株取引といった趣味や、奥様との月1回の旅行など、人生を楽しむ要素が散りばめられています。
今後は第一線から少し身を引く意向を示していますが、講演会の開催や「吉村家」の移転など、まだまだ多くの計画があるようです。吉村実さんの言葉には、”本物の家系ラーメンの味”を守り続けたいという強い意志が込められており、その想いが次世代に受け継がれることを願ってやみません。
吉村実さんの人生哲学は「運は運だけじゃねぇよ。努力してんだよ」という言葉に集約されています。運の良さを認めつつも、それだけに頼らず努力を続けることの大切さを説く彼の姿勢は、ラーメン業界だけでなく、あらゆる分野で成功を目指す人々にとって大きな励みとなるでしょう。
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